ジョグジャカルタ×横浜 PLAY WITH INDIGO BATIK





藍染めバティックをつくろう
PLAY WITH INDIGO BATIK

インドネシアの伝統的な染色の技法を使った子ども向けワークショップ


インドネシアの伝統的な染色技法「バティック」 をつかったワークショップを開催した。参加者は、バティックのデザインを考えるところから実際に染める工程まで、2日間をかけて行った。インドネシアから バティックの先生としてアリフ・ウィチャクソノ氏 を招待し、本場の道具や素材を使って染色を体験。 インドネシアの藍と、日本の桜をつかって、インドネシアの染め × 日本の染めのミックスを体験でき ることも特徴のプログラムとなった。参加者は述べ 43 名、子供から大人まで楽しめた。進行役はインドネシアで制作現場に携わった経験のある、日本人アーティストの山本愛子が行った。




概要
第50回アジア開発銀行年次総会横浜開催連携事業
ともにひらく、アジアの未来~
2017年5月4日~ 7日、各国財務大臣や中央銀 行総裁など約4,000人が参加し、アジアの経済発 展や課題等について議論するアジア開発銀行(AD B)の年次総会が横浜で開催。 本事業はADB年次 総会横浜開催を機に、アジアの文化に楽しく触れる 連携事業として開催された。

BankART1929
歴史的建造物などを文化芸術に活用する、横浜市 の創造都市構想のひとつ。2004年3月に元銀行の 建物二棟を核に実験事業としてスタートし、2006年 度から本格事業へと移行。 現在は日本郵船倉庫を 活用したBankARTstudioNYK を中心に、アート、建 築、パフォーマンスなど、多岐にわたる主催・コーディ ネート事業をし、創造界隈形成の一翼を担っている。http://www.bankart1929.com

Batik Natural Colour “BIXA” 工房
Batik Natural Colour “BIXA” は、インドネシアジャワ島の古都ジョグジャカルタに所在する天然バティック工房。 2000年に、ヘンドリ・スパラプト(Hendri Suprapto)によっ て設立された。近年、化学染料の使用やプリントバティッ クに移行していくインドネシアのバティック業界の傾向に 危機感を持ち、BIXA は、天然染料の使用を徹底した バティック工房として活動をしている。オーストラリア、韓 国、シンガポール、パキスタン、フランス、日本など、展 示会やワークショップバティックを開催するなど国際的活 動も行っている。http://www.batik-bixa.com/about/

ゲスト講師
バティック職人 / アリフ・ウィチャクソノ ARIF WICAKSONO
2015 ジャナバドラ大学 経営学部 卒業
2011 ガジャマダ大学 日本語学部 卒業
1989 インドネシアジャワ島ジョグジャカ ルタ出身
天然染料を使用したバティック工房 BIXA の二代目として生まれ、10代か ら工房の運営に携わる。大学で日本 語と経営を学んだ経験を活かし、国 内外でのバティックの展示会やワークショップの活動も精力的に行う。

企画進行
アーティスト / 山本愛子  AIKO YAMAMOTO
2017 東京藝術大学大学院 先端芸術 表現科 修了
2014 武蔵野美術大学工芸工業デザ イン学科 テキスタイル専攻 卒業

日時:2 0 1 7 年 3 月 1 8 日 [ 土 ]、 2 5 日 [ 土 ] 2 0 1 7 年 3 月 1 9 日 [ 日 ]、 2 6 日 [ 日 ]
場所:BankART Studio NYK
主催:横浜市  企画:BankART1929 + 山本愛子
参加資格:小学 3 年生~高校 1 年生、親子連れOK


会場の様子 BankART Studio NYK 3F


参加者は藍染め名札をつけて参加


インドネシアの民族衣装に身を包むアリフさん


バティック(溶かした蝋)で布に線を描きます


チャンティンという道具を使って描きます


ロウで描き終わったら藍染めをします


ロウと藍


藍染めが終わったら脱ロウ(お湯でロウを溶かす作業)をします


ビー玉や輪ゴムを使った絞り染めも。


かっこいいバティック藍染めの完成!


横浜港を眺めながら


ジョグジャカルタからアリフさんが持参してくれた資料コーナー


布を乾かしながらブレイクタイム





日本滞在と「藍染めバティックをつくろう」について
アリフ・ウィチャクソノ
バティックは、ジャワ島各地で発達したろうけつ染めとして知られている布のことである。ジャワ島の現地で使われるバティックの素材を、 日本で揃えることはむずかしい。 今回は、僕にとって初めての、日本で行うバティックワークショップ。自分が架け橋となって、ジャワバ ティックの伝統的な文化を日本へ発信できたことは、有意義なこと だった。 実際にバティックを教えてみて、日本人はバティックに対して非常に 好反応だった。 バティックの特質である繊細な作業には、集中力 や忍耐力が重要である。この内観的な作業は、アジアにつうづる、 ある種の瞑想の観念に近い。その作業が、日本人の感覚にもマッ チングしたのではないだろうか。 今回は、藍染めにフォーカスしたワークショップのプログラムとして始 まったが、サンプルとして、他のインドネシアの天然染料たちも持っ てきた。 限られた日程の中で、バティックの幅広さを伝えられるよう な工夫をとして、染色の面白さを参加者の皆に知ってもらいたかっ た。 四季の美しい島国として、数多くの植物が育まれる日本。その 色彩の豊富さは、世界の中でも、染色にうってつけの国であるように思う。 今回の染色ワークショップをきっかけに、皆さんが生活の中 でも、染めを楽しむことができるということに気づいてもらいたかった。 僕は今回の経験をとおして、より日本の染色文化にも興味をもつこ とになった。 3 月という時期もあり、はじめて日本の桜をこの目でみる ことができ、桜の枝でバティックを染める実験まで行うことができたこ とも、僕にとって非常に興味深く嬉しい経験となった。 今後も日本 文化との出会いをとおして、自国と日本の架け橋となるような活動を続けたい。





桜と藍のコラボレーション
山本愛子
最終日に実施した「桜染め × 藍染め」が印象的でした。 今回のプロジェクトのために、インドネシアからバティック職人のアリフさんが来日してくれたのは、ちょうど横浜に寒緋桜が咲き始めた時期で、彼にとっては生まれて初めて桜を目にする機会となりました。 宿泊先は馬車道のさくら通りに所在するさくらレジデンス。来日した当日にたくさんの桜に歓迎されたことにアリフさんはとても感動したようで、翌日私に「インドネシアの藍と日本の桜をミックスしたバティックができたらいいな」と呟きました。私は「じゃあやってみよう」と言いました。日本という異国の地で自然と生まれた彼の創作意欲を、私も受け止めたいと自然と思ったからです。そんなこんなで、元々計画していた藍染めワークショップ準備のかたわら 、突如始まった桜染めの実験 。染色用の桜の枝は冬が好ましく、少し時期が遅いらしい。それでもトライしてみようということで、桜の枝を入手先を見つけて枝を分けていただき、その枝から色素を煮出す実験を隙間時間に行いました。 なんとかワークショップ最終日には参加者一体となって、インドネシア藍と日本の桜をミックスして染めあげる共同制作が実現しました。 日本の桜色の淡さと、インドネシアの藍色の鮮やかさが、一枚の布の上で混ざり合う光景はとても美しかったです。ワークショップに桜をとりいれたことで、インドネシア文化をただ伝えるだけではく、双方向から干渉しあう創作となったことで、参加者にとっても、アリフさんと私自身にとっても、学び多き経験になりました。


 



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山本愛子

美術家。ReASIA/co-director. アジアの未知性に惹かれ、これまでにインドネシア、中国、シンガポール、カンボジア、台湾などで滞在制作と展示を行う。旅で出会った自然観を制作に取り込み、布や糸、染料を用いた独自の染織表現を探っている。2014年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル専攻を卒業。2017年東京藝術大学大学院先端芸術表現科修了。神奈川県出身。

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